ローストチキンはクリスマスに必要?由来から簡単レシピまで解説
クリスマスが近づくと、食卓の主役としてローストチキンを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
しかし、毎年恒例だからと準備しつつも、「そもそもローストチキンはクリスマスに本当に必要なのだろうか?」と一度は考えたことがあるかもしれません。
この記事では、クリスマスになぜチキンを食べるのかという素朴な疑問から、永遠のテーマともいえるローストチキンとフライドチキンの違い、さらには味付けの定番であるたれ味や塩味、そしてよく似たロティサリーチキンとの関係性まで、あらゆる角度から解説します。
また、調理に関する具体的なお悩み、例えばボリュームがあって食べきれない場合の保存方法や、オーブンを使わないで作れる簡単レシピ、子供にも人気の骨なしでの作り方、そして多くの人が目指す皮をパリパリにする秘訣まで、あなたの知りたい情報を網羅しました。
この記事を読めば、クリスマスチキンに関する全ての疑問が解決し、自信を持ってクリスマスの食卓を迎えられるようになります。
- クリスマスにチキンを食べる文化的な背景
- ローストチキンに関する様々な疑問への回答
- 家庭で手軽に作れるローストチキンの調理法
- 最終的にクリスマスに何を食べるべきかのヒント
ローストチキンはクリスマスに必要?由来と定番の謎

- クリスマスになぜチキンを食べるの?
- ローストチキンとフライドチキンの起源
- 味の正解は?たれ味と塩味を解説
- ロティサリーチキンとの違いとは?
- 食べきれない時の正しい保存方法
クリスマスになぜチキンを食べるの?

クリスマスにチキンを食べる習慣は、実は日本独自の文化に近い形で発展したものです。本来、欧米のクリスマスで伝統的に食べられてきたのは、鶏肉ではなく七面鳥(ターキー)でした。
この文化の起源は、19世紀のアメリカ開拓時代にさかのぼります。ヨーロッパからの移民たちが厳しい冬を越せずに食糧難に苦しんでいた際、先住民であるインディアンが七面鳥などの食料を分け与え、彼らの命を救ったという歴史があります。
この出来事への感謝を示す行事が「感謝祭(サンクスギビング)」の始まりとなり、特別な日のごちそうとして七面鳥を食べる文化が根付きました。
そして、感謝祭と同様に家族や親しい人々が集まるクリスマスでも、七面鳥のローストが食卓に上るようになったのです。
一方、日本では明治時代以降にクリスマスがイベントとして広まりましたが、当時も今も七面鳥は一般的に普及しておらず、入手が困難でした。そこで、七面鳥の代用品として手に入りやすい鶏肉が選ばれるようになりました。
特に戦後、食肉用の若鶏である「ブロイラー」の生産が本格化し、鶏肉が手頃な価格で安定して供給されるようになったことが、この習慣が全国的に定着する大きな後押しになったと考えられます。
ローストチキンとフライドチキンの起源

クリスマスのチキンといえば、ローストチキンとフライドチキンの二大巨頭が存在しますが、それぞれが定着した背景は大きく異なります。
ローストチキンの定着
前述の通り、ローストチキンはアメリカのクリスマス文化における七面鳥のローストの代替品として、日本で自然に広まっていった食文化です。
オーブンでじっくりと焼き上げる調理法は、特別な日のごちそうというイメージとも合致し、家庭でのクリスマスパーティーのメインディッシュとして定着しました。
特に、骨付きのもも肉を使ったローストチキンは、見た目も豪華でパーティー気分を盛り上げる一品として人気を博しています。
フライドチキンの普及
一方で、フライドチキンがクリスマスの定番となった背景には、特定企業の巧みなマーケティング戦略がありました。
1970年に日本へ進出した「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」が、1974年から「クリスマスにはケンタッキー」というキャッチフレーズで大規模なキャンペーンを展開したことが、その始まりです。
このキャンペーンが生まれたきっかけは、日本在住の外国人客が「日本では七面鳥が手に入らないから、代わりにKFCのチキンでクリスマスを祝う」と話したことだったと言われています。
このエピソードにヒントを得た営業担当者が、クリスマスとフライドチキンを結びつけるアイデアを考案し、見事に成功させました。
高度経済成長期のモダンなアメリカ文化への憧れも相まって、この習慣は瞬く間に日本中に広がり、今日に至るまでクリスマスの食文化として深く根付いています。
| 項目 | ローストチキン | フライドチキン |
| 起源 | アメリカの感謝祭文化(七面鳥の代用) | KFCのマーケティング戦略 |
| 調理法 | オーブンなどでじっくり焼く | 高温の油で揚げる |
| 食感の特徴 | 肉がしっとり、ジューシー | 衣がカリカリ、スパイシー |
| 文化的背景 | 伝統的な家庭料理のイメージ | 手軽なパーティーフードのイメージ |
味の正解は?たれ味と塩味を解説

ローストチキンの味付けには、主に「塩味」と「たれ味」の2種類がありますが、どちらが正解ということはありません。
それぞれのルーツや特徴を理解し、好みに合わせて選ぶのが良いでしょう。
塩味:素材の味を楽しむ伝統的なスタイル
欧米の伝統的なローストチキンは、塩、こしょう、ハーブ、スパイスなどでシンプルに味付けする塩味が基本です。
にんにくやローズマリー、タイムといった香味野菜やハーブと共に焼き上げることで、鶏肉本来の旨味や風味を最大限に引き出します。
さっぱりとしていながらも奥深い味わいは、ワインとの相性も抜群です。専門店やレストランで提供される本格的なローストチキンは、このスタイルが多く見られます。
たれ味:日本で独自の進化を遂げた人気の味
一方、日本のスーパーマーケットの惣菜コーナーなどでよく見かけるのは、醤油やみりん、砂糖などをベースにした甘辛い「たれ味」のローストチキンです。
これは日本の食文化に合わせて進化したスタイルで、照り焼きチキンに近い味わいが特徴といえます。
ご飯のおかずとしてもよく合い、甘めの味付けは特に子供からの人気が高いです。家庭で手作りする際も、馴染みのある調味料で手軽に作れるため、広く親しまれています。
どちらの味付けにもそれぞれの魅力があります。伝統的な雰囲気を楽しみたいなら塩味、家族みんなで親しみやすい味を楽しみたいならたれ味を選ぶなど、シーンや食べる人に合わせて選択するのがおすすめです。
ロティサリーチキンとの違いとは?

近年、専門店やデパ地下などでよく見かけるようになったロティサリーチキン。ローストチキンと見た目が似ていますが、実は調理方法に明確な違いがあります。
一番の違いは、肉を回転させながら焼くかどうかという点です。
ローストチキン
ロースト(Roast)とは、オーブンなどを使って食材を蒸し焼きにする調理法全般を指します。
オーブンの天板に鶏肉を置き、熱でじっくりと火を通すため、肉汁が内部に閉じ込められ、ふっくらとジューシーな食感に仕上がります。
ロティサリーチキン
ロティサリー(Rôtisserie)はフランス語で「あぶり焼き」を意味し、専用の回転式オーブン(ロティサリーマシン)で調理されます。
串に刺した丸鶏を回転させながら焼くことで、鶏肉全体に均一に火が通ります。この回転工程で余分な脂が下に落ちるため、脂っこさが抑えられ、皮はパリッと香ばしく焼き上がるのが最大の特徴です。
どちらを選ぶかは、どのような食感を好むかによります。
しっとりとしてジューシーな肉質を楽しみたい場合はローストチキンが、香ばしくパリパリの皮とヘルシーな味わいを求めるならロティサリーチキンが向いていると考えられます。
食べきれない時の正しい保存方法

ボリュームのあるローストチキンは、パーティーで食べきれないことも少なくありません。しかし、適切な方法で保存すれば、翌日以降も安全に美味しく食べることができます。
保存方法は「冷蔵」と「冷凍」の2通りです。
冷蔵保存する場合
数日以内に食べ切れる場合は、冷蔵庫で保存します。
- 方法:チキンの粗熱が完全に取れたことを確認してから、乾燥しないように一塊ずつラップでぴったりと包むか、蓋つきの密閉容器に入れます。
- 保存期間の目安:清潔な箸やフォークで取り分けたものであれば2〜3日。複数人が直箸で食べたものは雑菌が繁殖しやすいため、翌日中には食べ切るようにしてください。
- 注意点:冷蔵庫内の他の食材に匂いが移るのを防ぐためにも、密閉することが大切です。
冷凍保存する場合
長期間保存したい場合は、冷凍が適しています。
- 方法:骨から肉をほぐし、1食分ずつ小分けにします。空気に触れないようにラップでしっかりと包み、ジッパー付きの保存袋に入れて冷凍庫へ入れます。この時、金属製のトレーに乗せて急速冷凍すると、品質の劣化を抑えられます。
- 保存期間の目安:約2〜3週間。
- 注意点:温かいまま冷凍すると、冷凍庫内の温度が上がり、他の食品を傷める原因になるため、必ず完全に冷ましてから冷凍してください。
解凍と再加熱のポイント
保存したチキンを食べる際は、食中毒を防ぐために必ず十分に再加熱しましょう。
- 解凍方法:冷蔵庫に移してゆっくり自然解凍するか、急ぐ場合は流水解凍がおすすめです。常温での解凍は菌が繁殖しやすいため避けてください。
- 再加熱:電子レンジで温めるか、アルミホイルに包んでオーブントースターで焼くと美味しくいただけます。中心部まで75℃以上で1分以上加熱することが安全の目安です。
保存したチキンは、そのまま食べるだけでなく、サンドイッチの具材にしたり、細かく刻んでスープやサラダ、ピラフに加えたりと、様々なアレンジレシピで楽しむことができます。
ローストチキンがクリスマスに必要な人のための調理法

- 漬けて焼くだけの簡単レシピを紹介
- 子供も喜ぶ骨なしチキンの作り方
- オーブンを使わないお手軽調理テク
- 皮をパリパリに仕上げる究極のコツ
- ローストチキンがクリスマスに必要かは自由
漬けて焼くだけの簡単レシピを紹介

ご家庭でローストチキンを作るのは難しそうに感じるかもしれませんが、鶏もも肉を使えば、漬けて焼くだけで驚くほど簡単に作ることが可能です。
このレシピの最大の利点は、下味を付けるための調味液に漬け込むことで、味が肉の内部までしっかりと染み込み、同時に肉質が柔らかくなる点にあります。
特別な技術がなくても、本格的でジューシーなローストチキンが完成します。
基本の漬け込みだれレシピ(鶏もも肉2枚分)
- 醤油:大さじ3
- 酒、みりん、はちみつ:各大さじ1
- おろしにんにく:1かけ分
- (お好みで)ローズマリーなどのハーブ
調理手順
- 下準備:鶏もも肉の厚さが均一になるように包丁で開き、味を染み込みやすくするためにフォークで全体に数カ所穴を開けます。
- 漬け込み:ジッパー付きの保存袋に鶏もも肉と全ての調味料を入れ、袋の上からよく揉み込みます。空気を抜いて袋の口を閉じ、冷蔵庫で最低1時間、できれば一晩寝かせます。
- 焼成:オーブンの天板にクッキングシートを敷き、漬け込んだ鶏肉の汁気を軽く切って皮を上にします。200℃に予熱したオーブンで30分程度、焼き色がつくまで焼きます。
- 仕上げ:焼いている途中で2〜3回、袋に残ったたれを刷毛で塗ると、美しい照りと深い味わいが加わります。
このように、事前の準備さえしておけば、当日はオーブンに入れるだけで調理が完了します。
忙しいパーティー当日でも、手間をかけずに豪華なメインディッシュを用意できるのが、このレシピの魅力です。
子供も喜ぶ骨なしチキンの作り方

骨付きチキンは見た目が豪華ですが、小さなお子様にとっては食べにくいことがあります。
そこで、骨なしの鶏もも肉を使えば、子供から大人まで誰もが気軽に楽しめるローストチキンを作ることができます。
骨なしチキンには、食べやすさ以外にもいくつかのメリットがあります。
まず、骨を外す手間がかからず、調理が手軽です。また、肉の厚みが均一に近いため火の通りが良く、生焼けの心配が少なくなります。焼き上がった後に切り分けるのも簡単で、パーティーで大勢に取り分ける際にも便利です。
作り方は、前述の「漬けて焼くだけの簡単レシピ」をそのまま応用するだけです。
骨なしの鶏もも肉を使い、同様に漬け込んでオーブンで焼けば完成します。焼き時間を少し短めに調整すると、より柔らかくジューシーに仕上がります。
焼き上がった骨なしローストチキンは、食べやすい大きさにカットして大皿に盛り付けるのがおすすめです。
ミニトマトやブロッコリーを添えれば、彩りも豊かになります。ケチャップやマヨネーズを添えておくと、お子様がさらに喜んでくれるでしょう。
オーブンを使わないお手軽調理テク

「家にオーブンがないからローストチキンは作れない」と諦めている方もいるかもしれませんが、フライパンや深鍋があれば、オーブンなしでも美味しいローストチキンを作ることが可能です。
フライパンを使った調理法
フライパンを使えば、外は香ばしく、中はジューシーなローストチキンが手軽に作れます。
- 下味を付けた鶏もも肉を、油を熱したフライパンに皮目から入れます。
- 弱めの中火で、皮に焼き色がつくまでじっくりと焼きます。この時、フライ返しなどで軽く押さえつけると、皮全体がパリッと仕上がります。
- 肉を裏返し、蓋をして弱火で10分ほど蒸し焼きにします。竹串を刺して透明な肉汁が出れば完成です。
この方法の利点は、手軽さと調理時間の短さです。ただし、火加減を誤ると焦げ付きやすいという注意点もあります。
フライパンを使ったローストチキンは、ごじゃくま家でもつくったことがありますし、意外と簡単でした。当ブログ内でも紹介していますので、参考にしてみてください。こちら→【フライパンで作るローストチキン】【フライパンで作るローストチキン 塩味】
深鍋を使った調理法(ポットロースト)
ル・クルーゼやストウブのような鋳物ホーロー鍋など、蓋が重く密閉性の高い深鍋を使った「ポットロースト」という調理法もあります。
- 鍋を熱し、鶏肉の表面に焼き色を付けます。
- 少量の水や白ワイン、コンソメスープなどを加え、蓋をしてごく弱火で30分〜1時間ほど蒸し煮にします。
- 肉に火が通れば完成です。
この調理法では、肉が非常にしっとりと柔らかく仕上がるのが特徴です。
鍋に残った煮汁は、絶品のソースとして活用できます。オーブンで焼いたような皮のパリパリ感は得にくいですが、煮込み料理のような深い味わいが楽しめます。
皮をパリパリに仕上げる究極のコツ

ローストチキンの醍醐味の一つは、なんといっても香ばしく焼き上がったパリパリの皮です。この食感を実現するためには、焼く工程でいくつかの重要なポイントがあります。
1. 調理前の水分を徹底的に除去する
鶏肉の表面、特に皮に水分が残っていると、焼く際に蒸気が発生してしまい、皮がパリッと仕上がりません。
調理を始める前に、キッチンペーパーで皮の表面の水分を念入りに拭き取ることが、最初の重要なステップです。
2. 油やみりんを皮に塗る
皮の表面を油分でコーティングすることで、高温で焼いた際に水分が効率的に蒸発し、クリスピーな食感が生まれます。
- 油を塗る:焼く直前に、オリーブオイルやサラダ油を刷毛で皮全体に薄く塗ります。
- みりんを塗る:みりんを塗ると、糖分が加熱されることで美しい照りと香ばしさが生まれ、皮がパリッとしやすくなります。油を使うよりも後片付けが楽というメリットもあります。
3. 焼いている途中で油をかける(最も効果的な方法)
これが、皮をパリパリに仕上げるための最も効果的なテクニックです。
オーブンで焼いていると、鶏肉から溶け出した脂が天板に溜まります。焼き時間の途中でオーブンを一度開け、スプーンでこの熱い脂をすくい、鶏肉の皮の上からかけます。
この作業を10分おきに2〜3回繰り返すことで、高温の油が皮の水分を飛ばし、揚げたようにカリッとした食感に仕上がります。手間はかかりますが、その効果は絶大です。
これらのコツを実践すれば、お店で食べるような、理想的なパリパリの皮を持つローストチキンをご家庭で再現することができるでしょう。
ローストチキンがクリスマスに必要かは自由

これまで、クリスマスのチキンに関する歴史や文化、調理法について詳しく解説してきました。この記事を通して、様々な知識が深まったことと思います。
では、最終的に「ローストチキンはクリスマスに本当に必要なのか?」という問いに戻ってみましょう。
その答えは、「必ずしも必要ではない」というのが結論です。
- クリスマスのチキン文化は七面鳥の代用として日本で始まった
- フライドチキンの定着はKFCのマーケティング戦略が大きく影響
- ローストチキンはオーブンでじっくり焼く伝統的な調理法
- フライドチキンは油で揚げる手軽な調理法
- 味付けには伝統的な塩味と日本で人気のタレ味がある
- ロティサリーチキンは回転あぶり焼きで皮がパリパリに仕上がる
- 食べきれないチキンは冷蔵または冷凍で正しく保存できる
- 再加熱の際は食中毒を防ぐため十分に火を通す
- 家庭でも鶏もも肉を使えば漬けて焼くだけで簡単に作れる
- 骨なしのもも肉を使えば子供も食べやすく調理も手軽
- オーブンがなくてもフライパンや深鍋で調理は可能
- 皮をパリパリにする秘訣は焼いている途中で熱い油をかけること
- みりんを塗る方法も皮をパリッとさせるのに有効
- 本来クリスマスに何を食べるべきかという厳格なルールはない
- 最も大切なのは家族や大切な人と食卓を囲み楽しい時間を過ごすこと
- 伝統にこだわらず、お寿司や鍋料理など自分たちが本当に好きなものを食べるのも素敵な選択
- 最終的には義務感ではなく、心から楽しめる料理を選ぶのが一番の正解

